【社会主義とは】共産主義と違いは?意味や特徴を簡単にわかりやすく解説!!

 

かつて冷戦の時代に世界は資本主義・自由主義陣営と社会主義陣営とに分かれていました。

 

社会主義とはいったいどのようなものだったのでしょうか。

 

また、共産主義とはどのような違いがあるのでしょうか?

 

今回は、知っているようで意外に知らない『社会主義』について簡単にわかりやすく解説をしていきます。

 

社会主義とは? 

 

 

社会主義とは、 資本主義の矛盾を批判し、社会保障や福祉により平等な社会を目指す国家体制のことを言います。

 

イギリスで起きた産業革命をきっかけに、社会の在り方は大きく変わっていきました。少数の資本家と大多数の労働者に分かれていったのです。

 

この二つの階層の経済的な格差は時間が経つにつれてどんどん大きくなっていきました。

 

利潤を追求することが求められる資本主義社会では、労働者の賃金は抑えつけられ、労働時間は長時間にも及びました。

 

このような社会の在り方に疑問を持った人たちが提唱したのが社会主義です。

 

社会主義では最も大事に考えられたのは「平等」ということでした。

 

資本主義が自由を重視するのに対して、社会主義においては結果の平等というものが重視されます。

 

そのために市場経済の制限や廃止、計画経済、社会保障、福祉国家などの整備を主張しました。 

 

多様な社会主義 

①社会主義と共産主義の違い

社会主義と似たような言葉に共産主義という言葉があります。

 

中にはほぼ同じ意味で使っていることもありますが、社会主義は平等、共産主義は私有財産の否定をベースに考えていることがそれぞれの特徴と考えるといいでしょう。

 

マルクスエンゲルスが考えた理論によると資本主義社会の発展したものが社会主義とされました。

 

そして社会主義が発展したものが共産主義と考えられました。

 

社会が発展していくにつれて生産力が向上。そうして社会主義社会が実現すれば人々は能力に応じて働き、その労働に応じてモノを手に入れることができます。

 

また、さらに発展して共産主義社会になれば人々は能力に応じて働き、必要に応じてモノを手に入れることができるようになるとされました。

 

②ソ連型社会主義

ソ連が実施した社会体制を共産主義と呼ぶこともあります。

 

これはソ連型社会主義マルクス・レーニン主義とも呼ばれます。この場合は共産主義も社会主義もどちらも同じものを表しているのでややこしいですね。

 

この意味での共産主義では暴力や革命をしてでも理想の社会を作っていこうとしました。

 

ソ連で行われていた社会主義は、官僚制計画経済、中央集権、一党独裁の共産党が国家を指導するということが特徴です。

 

土地や工場などの資本は国家の所有物で、国営とされ、さらに共産党による国家・経済・社会への統制が行われ、民主主義や基本的人権については制限されていました。自由というものがなかったのです。

 

第二次世界大戦後はソ連の衛星国とされた東欧の社会主義国家でもこのような体制が取られました。

 

 

さらにそれらの国はソ連の意にそぐわない政策を行おうとすると、ソ連からの軍事介入されることがありました。

 

国家の主権すらソ連によって制限されてしまっていたのです。

 

③社会民主主義

 他方、平和的に理想の社会を目指した人たちもいました。その人たちが考えたのが社会民主主義という方法です。

 

社会民主主義というのは、政党を組織し選挙で勝つことによって政権を奪い、社会保障を充実する政策を行い、福祉国家を目指すというものでした。

 

イギリスの労働党ドイツの社会民主党がこれらの代表的な例です。

 

このような人たちも広い意味では社会主義と言われることがあります。

 

その他、戦後昭和時代の日本も日本型社会主義と呼ばれることもあります。

 

年功序列と終身雇用制に代表される日本型の企業制度、55年体制下自民党による長期政権、計画経済と市場経済を合わせた混合経済体制から一億総中流社会を実現したからです。

 

 

この頃の日本が世界で最も成功した社会主義国と呼ばれることもありますが、日本が正式に社会主義国を名乗ったことはありません。

 

社会主義の特徴

①社会主義のメリット

社会主義のメリットは「市場の失敗による恐慌が存在しない」ということです。

 

これは1929年の世界恐慌のときに実証されました。

 

 

資本主義の各国が強硬に苦しむ中、唯一社会主義国として計画経済を推進していたソ連は経済成長期に入っていました。

 

5か年計画を元に農業の集団化や国家主導の重工業化を行ったことによって大きな経済成長を成し遂げたのです。

 

その当時は資本主義国から見ると社会主義国は羨望のまなざしで見られていました。

 

しかしながらこれは表面的なことで、実際は大量の政治犯や思想犯など社会主義に反対する人々を強制労働させて成立していたのです。

 

また、富も共産党上層部のみが分配されるというもので、社会主義の理想とはかけ離れたものでした。

 

とはいえ、ソ連では国家が主導して改革を行ったことで農村部の絶対的貧困や公衆衛生問題などが改善され、道路などインフラ分野でも進歩が見られました。

 

多くの社会主義国が国威発揚としてオリンピックでメダルが取れるように選手を強化したこともありましたし、当初は宇宙開発競争でもソ連がアメリカをリードしていましたので、国家が重視する特定の分野が強烈に伸びる、という面もメリットでしょう。

 

②社会主義のデメリット

デメリットは「硬直した社会になりやすい」ということです。

 

また、結果の平等による労働意欲の減退も問題になります。

 

計画経済を取ってしまうと万が一計画に問題があった場合、途中で修正されるということはありません。

 

ある東欧の社会主義国ではヘアピンの生産計画がなかったために、数年間作られなかった、ということがありました。計画を経てたのが男性だったのでこのようなことが起きたのです。

 

また、どれだけ頑張っても給料が同じということは、適度に手を抜いたりさぼったりする人が出てきます。そうすると農業や工業で生産される物が少なくなり品不足が起きます。

 

実際にソ連ではアメリカから穀物を輸入していた時期もありました。

 

さらに、中央に生産量を報告する際に、地方の役人が出世や保身のために虚偽の報告することもありました。

 

中央では報告をもとに今後の計画を立てることになるので、どんどん実態とかけ離れた計画になっていったのです。

 

そして特定の分野だけに人や金、時間などを投入するので、投入されなかった分野に関しては伸びないといったこともありました。

 

このような問題が表面化したことにより、ソ連型の社会主義は失敗に終わりました。

 

過去&現在の社会主義国

(ソビエト連邦の国旗 出典:Wikipedia

①過去の社会主義国

過去に社会主義国だったのは、主な国としてはソ連とその衛星国です。

 

衛星国に含まれるのは東ドイツやポーランド、ハンガリー、ルーマニア、チェコスロバキアなど中東欧の国になります。

 

その他クメール・ルージュ支配下のカンボジアなどアジアやアフリカにもありました。

 

②現在の社会主義国

現在、社会主義国として残っている主な国は、中華人民共和国、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、キューバ、ラオス、ベトナムなどです。

 

またインドやポルトガルなど憲法上は社会主義国と定義している国もあります。

 

中華人民共和国に代表されるように共産党の独裁体制は残しているが市場経済を導入しているなど、現存している社会主義国の定義も多様化しています。

 

まとめ

 社会主義とは社会保障や福祉により平等な社会を目指す国家体制のこと。

 マルクスとエンゲルスによると社会主義は資本主義が発展し、共産主義に至るまでの過程。

 ソ連型の社会主義を共産主義と呼ぶこともある。

 民主主義のシステムを利用して社会主義を実現する社会民主主義という考え方もある。

 ソ連崩壊後、社会主義を標榜している国は減ってきている。