石器時代から文明が進歩すると世界各地で青銅器鉄器が使われるようになります。

 

ただ、この両者の違いは教科書にもあまりくわしく書かれていません。

 

これらがどのように使われたのか、日本と世界での違いなども含めてわかりやすく解説していきます。

 

青銅器と鉄器の違い

 

 

まずは材質の違いです。

 

青銅器はに10%ほどの(すず)を混ぜた合金の「青銅」を使っています。身近なところでは10円玉の素材が青銅です。

 

鉄器は言うまでもなく、で作られた道具のことですね。世界的には比較的簡単に作れる青銅器のほうが先に作られるようになりました。

 

ただ、鉄のほうが硬くて使いやすいため、鉄器が普及すると青銅器はあまり使われなくなります。

 

青銅器とはなにか

(弥生時代の銅矛 出典:Wikipedia

①青銅器の特徴

銅や錫は溶ける温度が鉄などよりも低いので、木炭などの弱い火力でも加工することができます。

 

ただ、銅と錫の合金なんてややこしいものを作るんだったら、純粋な銅だけのほうが簡単そうに思えますよね。実際、銅器も作られていたのですが、石器の代わりにはなりませんでした。

 

なぜかというと、銅は柔らかすぎて道具としてはあまり使えないんです。そこで銅に錫を混ぜることによって硬くして、加工もしやすくするという方法が発明されました。これは人類にとって大発明で、ここから「青銅器時代」が始まります。

 

「青銅器」というぐらいなので青っぽい金属をイメージしますが、教科書などに載っている青銅器は古くて酸化してしまったもので、本来の作りたての青銅器はピカピカに光ります。英語でいうと青銅はブロンズ(bronze)。

 

新品の10円玉や銅メダルのようなものが本当の青銅器の色なんです。

 

②青銅器の使用方法

青銅器は銅戈(どうか)、銅剣銅矛(どうほこ)などの武器として用いられました。

 

また、日本では銅鐸(どうたく)という釣鐘のような形をした青銅器が多く出土しています。

 

 

(日本で見つかった銅鐸 出典:Wikipedia

 

 

これはベルのようにならす楽器として使われていました。1世紀ごろになると1メートル以上の巨大なものが作られるようになって、楽器ではなく祭りの時の飾りとして使われていたと考えられています。

 

そして、日本では大量に銅鏡が発見されています。

 

 

(三角縁獣文帯四神四獣鏡 出典:Wikipedia

 

 

鏡というと現代ではなんてことのないものですが、まばゆい光を反射する鏡は当時の人にとってはとんでもないスーパーテクノロジーだったことでしょう。

 

そこで銅鏡は呪術的な意味を持っていて、権力者が自らの力を示すためのアイテムだったのです。

 

③青銅器の普及

青銅器は紀元前3000年ごろからメソポタミアで使われ始めました。その後、インド、ヨーロッパ、中国などでも青銅器が普及していきます。

 

日本では弥生時代の紀元前300年ごろには青銅器が伝わりましたが、中国では紀元前2000年ごろに青銅器文化が花開いていたのと比べるとだいぶ遅い時代に伝わったことになります。

 

青銅を作るためには錫が必要なのですが、錫が産出される地域は限られています。

 

どんなに文明が発展していても、錫がない地域ではどこかから輸入しなければならないので、サハラ以南のアフリカなど青銅器が作られなかった地域もあります。

 

 

鉄器とはなにか

(稲荷山古墳から出土した鉄剣 出典:Wikipedia

①鉄器の特徴

鉄は現代でも身の回りでさまざまな用途で使われている便利な金属です。

 

ただ、鉄は融点が高く、低い温度では溶けないという特徴があります。そこでまだ高い温度の炉を作れなかった時代には、不純物の多い鉄を過熱してから叩き、不純物を追い出して鉄を鍛えるという方法が生み出されました。

 

鉄は加工が容易なのに強度が強いというメリットがあり、大変便利な金属です。特に武器としては青銅器よりも強く、鉄器時代に入ると石器や青銅の武器は駆逐されていきます。

 

また、青銅とは違って世界各地で材料である鉄鉱石砂鉄が入手できるというのも鉄のメリットです。現在の日本ではほとんど鉄を産出していませんが、これは経済的に採算が取れないというのが理由で、砂鉄が採れる砂浜は現在でも数多くあります。

 

②鉄器の使用方法

鉄器は作りやすく便利なため、青銅器の代わりとして活用されました。

 

日本ではといった農耕具に鉄が使われています。また、木製の(すき)の先の部分に鉄の刃を取り付けたものが使われていました。当時は鉄が貴重だったので、木製の道具に補助的にくっつけるという工夫がされていたのですね。

 

その他にも小刀やノミ、やりがんなといった小型の工具が主な用途となっていました。もちろんといった武器にも鉄は使用されています。

 

ただ鉄はすぐ錆びてしまうため、芸術性や美しさという点では青銅器に劣ります。そこで装飾品やお祭りの時に使う祭器として青銅器は使われ続けました。

 

③鉄器の普及

紀元前3000年ごろにはメソポタミアで隕鉄(隕石に含まれる鉄)を材料として鉄器が作られていましたが、鉄の加工の難しさからほとんど普及しませんでした。

 

鉄器が本格的に使われたのは、紀元前1400年ごろにメソポタミアを支配したヒッタイトという国でした。

 

ヒッタイトでは鉄の製法を国家機密としていたため、周辺に伝わることはなく、長い間鉄器はヒッタイトが独占していました。しかし、紀元前1190年ごろにヒッタイトが滅亡すると急速に各地に広まっていきます。

 

中国は高度な青銅器文化が発展していたこともあり、鉄器が使われるようになったのは紀元前600年ごろでした。

 

日本における青銅器と鉄器

①弥生時代に鉄器が使われる

日本では弥生時代に青銅器と鉄器がほぼ同時期に伝わったというのが定説です。

 

青銅器や鉄器は大陸からまず九州北部に伝えられました。その後はしばらく九州北部を中心に使われていましたが、弥生時代末期になると東北地方など広い地域で使われるようになります。

 

しかし日本で製鉄が行われるようになったのがいつなのかはわかっていません。

 

弥生時代中期には朝鮮半島から来た渡来人によって製鉄技術がもたらされたという説が有力ですが、異論もあるようです。

 

遅くとも古墳時代の6世紀には製鉄技術が伝わっていました。

 

②青銅器時代がない日本

世界的には青銅器が先に作られ、鉄器が作られるという順に金属器の文化は発展していきました。

 

しかし、ユーラシア大陸の端の島国である日本には金属の技術が入ってきたのが遅く、すでに中国では鉄器が一般的になってからだったので、青銅器と鉄器がほぼ同時にもたらされました。

そこで日本には「青銅器時代」という時代は存在しなかったことになります。

 

また、青銅よりも使いやすい鉄が入ってきたため、初期を除いて青銅器は実用としては使われなかったというのが日本の特徴です。銅剣や銅矛などはもっぱら祭器として使われました。

 

実用的ではない巨大な平形銅剣(ひらがたどうけん)や広形銅矛(ひろがたどうほこ)などが作られましたが、これらには刃がついておらず、武器としては用いられていないことがわかります。

 

青銅器VS鉄器、どっちが強いのか

 

 

ところで、よくゲームには「銅の剣」や「鉄の剣」という武器が出てきますが、たいてい鉄のほうが攻撃力がだいぶ強いですよね。

 

では実際にはどうだったのでしょう。青銅の剣と鉄の剣で戦うと、青銅の剣はパキーンと折れてしまうのでしょうか?

 

これはYouTubeなどで実験している人がいるのですが、やはり鉄の剣のほうが圧倒的に強いです。

 

ただ、青銅の剣も刃が欠けたりはしますが、折れたり曲がったりするほどではないようです。だから、青銅の剣で戦っても勝ち目がないほど不利ではないということですね。

鉄の武器の利点は単純な攻撃力の強さもあったでしょうが、壊れにくさや強度の強さが特に優位なポイントだったのでしょう。

 

なお、農耕などの道具には鉄が圧倒的に使いやすいです。青銅の鍬で土を耕そうとすると簡単に曲がってしまって使いものにならないんですね。

 

そのため鉄器を使う国は、農作物の生産量が増大して国力が強くなるというメリットもありました。

 

まとめ

 青銅器は銅に10%ほどの錫(すず)を混ぜた青銅で作られた。

 鉄器は青銅器よりも硬く、加工しやすい。

 世界的にはまず青銅器時代になり、鉄器時代へと移行した。

 日本では青銅器と鉄器が同時期に伝わり、青銅器は祭器として使われた。

 鉄の剣のほうが青銅の剣より硬く、刃を欠けさせるぐらい強い。




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