今の現代社会では、軍隊というのにはあまりなじみがないですよね。
しかし、日本がかつて大日本帝国といわれていた太平洋戦争時代の頃、軍隊が日本にも存在していたのは事実です。
軍隊というのは、軍人の人が集まっているというのが一般的な解釈です。
また、軍属というワードもありますが、これは軍人とはまた別の意味があるんです。
軍人も軍属も、どちらも軍隊にいる人たちなのですが、その違いは一体なんでしょうか?
今回は、『軍人と軍属の違い』について簡単にわかりやすく解説していきましょう。
目次
軍人と軍属の違い
では最初に、軍人と軍属の違いについて簡単にまとめてみましたのでご覧ください。
それぞれの違い
✔ 役割が違う
軍人・・・地位に関係なく、戦闘員全般を指す
軍属・・・地位に関係なく、軍に属さない民間人。基地などで軍人と働く人たちを指す
✔ 仕事内容が違う
軍人・・・武器を取って戦う
軍属・・・自分の専門知識を活かしたり、雑用として働く
✔ 働く環境が違う
軍人・・・戦地、衛生面は劣悪
軍属・・・基地、衛生面がまだ良い
✔ 負担が違う
軍人・・・戦地であったため、精神的負担があった
軍属・・・基地だったので軍人達よりは精神的負担がまだ少ない
✔ なれる人が違う
軍人・・・志願すればなれる、徴兵でも強制的になる
軍属・・・志願すればなれるが、地位の関係で軍人になれず、軍属になる人もいた
ここまではそれぞれの違いについて要点だけをお伝えしました。
これだけでは少々理解しにくいかもしれませんので、ここからはさらに「軍人」「軍属」について詳しく解説していきます。
軍人について詳しく解説!
軍人というのは、どういった人物なのでしょうか?
軍人とは、広く国にある陸海空軍に所属している戦闘員のことを指します。
どんな地位だとしても、軍隊に所属していれば、全員軍人ということになります。
さらにこの軍人の中でも枝分かれしていて、武官と兵に細かく分類できます。
①大日本帝国における軍人とは?
大日本帝国における軍人とは、陸軍と海軍に所属する人たちのことです。
なぜ大日本帝国に空軍がないのかというと、陸軍と海軍が航空戦力を持っていたからです。
これらを空軍というケースもあるようです。
もちろん、大日本帝国の軍人たちは戦場の最前線へ立ち、武器を取って戦っていました。
戦場は衛生状況もかなり悪く、ご想像のとおり武器を取って敵を倒すわけですから、精神面でも相当の負担が強いられていました。
大日本帝国における武官
武官とは、自らが志願して軍人を職業としている人たちのことです。将校や士官などの役職を持っています。
特に、将校や将校相当官という役職は、終身官となります。どういうことかというと、軍を退役しても、ずっと武官の地位を持っているということです。
また、後に紹介する軍属では文官だった人たちも、人手不足などの理由によって、武官へ役職を変えるということもありました。
大日本帝国における兵
一方の兵は、国民の義務として兵役にある人たちのことです。
たとえ徴兵されて兵になったとしても、志願して兵になったとしても、変わりません。
そのため、当時兵役のなかった日本国民についても、一般的には兵であり、軍人であるという認識となるのです。
②大日本帝国における軍人の仕事
大日本帝国の軍人たちは、戦場において銃器を打ったり、戦車などに乗って戦などといったことを行います。
また、軍医や衛生兵も軍人のくくりのため、最前線で医療行為を行っていたりもしました。
軍属について詳しく解説!
軍属とは一般的に、軍に勤めている人や軍の関係者のことを指します。
彼らは軍に所属をしているものの、戦闘員ではありません。
主に雑用や専門的な知識を活かして、軍人のサポート役を担う人たちを軍属と呼んでいます。
①大日本帝国における軍属
大日本帝国における軍属というのは、基本的に本人の意思で陸海軍に勤務していた、軍人ではない人たちのことを指します。
実際には、軍人の最下級レベルの人でも出来そうな仕事が多いようにも見えますが、軍属の人たちは、軍人たちでは間に合わないような専門知識を持っている人が多く、中には身分の関係で軍人になることができなかった人たちが軍属として存在していたことが特徴です。
また、大日本帝国時代は、軍人と同じく徴用がありました。
軍属は軍人ではないため、自ら戦地の最前線へいくことはほとんどなく、暖かい布団や食事が用意されている基地での生活をしていました。
そのため、当時からしたら衛生面や精神面ではかなり恵まれていたのです。
とはいえ、軍人と一緒に働いていたのですから、精神負担はないとは言えません。
軍属には、文官・雇員(こいん)・傭人(ようにん)というように分けられます。
文官とは?
文官は、今でも言葉や職業としても耳にすることがあるかと思います。
今でいうところの一般官庁と同じで、文官の中でもエリートの高等官、その下の伴任官という地位があり、大日本帝国での文官には、下記の種類がありました。
- 普通文官
- 教官
- 技術官
- 法務官
- 監獄官
- 通訳官 など
前述のとおり、太平洋戦争の激化とともに、一部文官たちが武官へとなるケースもありました。
雇員とは?
雇員とは、いわゆる軍人たちのサポート的役割をはたしていて、下記のような仕事をしていました。
- 調理士
- 看護師
- 栄養士
- 守衛 など
これらの役職は、軍人では追いつかない専門分野となっていました。
また、事務員的立場の雇員もいたようです。
しかし、軍人と一緒に働いていたということもあり、扱いとしては軍人と大差はなかったとされています。
傭人とは?
傭人という言葉は、聞きなれないですよね。
傭人は下級の位であったため、主に軍人たちの手伝い・雑用係を行っていました。
主に、下記の内容の仕事をしていました。
- 記録手
- 軍用郵便手
- 操船手
- 印刷手
- 運転手
- 理髪手
- 給仕 など
傭人達の活躍は昔の戦争映画なのでも出て来ることが多いですので、戦争の映画を見る際に注意してみてみると、わかりやすいです。
軍人と軍属は混在している!?
簡単に軍人と軍属について紹介していきましたが、前述のとおり軍属の役割に軍人が配置されるということが珍しくありませんでした。
そのくらい、戦地では何が起こるかわからない状況でした。
そのため、軍属から軍人へ転換するということも有り得たのです。
まとめ
✔ 軍人と軍属は役割が異なる。大日本帝国での軍人は戦闘員全般を指し、軍属は軍に属さない民間人基地で働く人たちを指す。
✔ 軍人と軍属は仕事内容が異なる。大日本帝国の軍人は武器を取って戦ったが、軍属は自分の専門知識を活かして働いていた。
✔ 軍人と軍属は働く環境が異なる。大日本帝国の軍人は戦地にいたため、衛生面は劣悪だったが、軍属は基地などで戦場に出ることはなく、衛生面が良かった。
✔ 軍人と軍属は精神的負担が異なる。大日本帝国の軍人は戦地にいたことから、精神的負担があったが、軍属は基地勤務が多かったので軍人達よりは精神的負担が少なかった。
✔ 大日本帝国の軍人も軍属も、自ら志願してなったものがいつつ、国民も徴用・徴兵されていた。しかし、軍属については軍人になれない地位の人たちがなっていたケースもある。
✔ 太平洋戦争が激化すると、軍属にいたものが軍人になることも良くあった。