【打製石器とは】何時代に作られた!?作り方や用途・種類&切れ味などの特徴!

 

私たち人類の祖先である猿人は今から約500万年前に誕生したと言われています。

 

その猿人たちの進化にともなって、使う道具も変化していきました。

 

その中でも、人類が最初に作ったとされる道具が打製石器です。

 

今回は、この『打製石器(だせいせっき)』について詳しく解説していきます。

 

打製石器とは?

 

打製石器は、石を打ち砕いて作った道具のことで、動物の肉などを切るために使われていました。

 

今から約200年前(もっと以前の330万年前頃という説もある)から縄文時代、弥生時代の遺跡からも見つかっています

 

打製石器の作り方

 

この時代にはまだ、金属でできた道具は登場していなかったため、他の石や動物の角などを使って、石をたたき割って作りました

 

3つの手法

 直接打法・・・石のハンマーを直接石材に叩きつけて、不要な部分を取り除く方法。形を整えたり大まかに刃の形をつけたりするときに用いた。

 

 間接打法・・・直接石を叩くのではなく、石材に動物の角や骨を当てて、それを叩いて石をはぎ取る方法。はぎ取った石片から石刃を作った。

 

 押圧剥離・・・尖った鹿の角や木などを石材のふちに当て、剥離させる方法。刃の部分を薄く加工するときに用いた。

 

打製石器の素材

 

打製石器の素材には、ガラス質(黒曜石・頁岩・サヌカイトなど)で剥離しやすいのものが使われていました。

 

黒曜石・・・火成岩の一つで光沢があり、黒色、灰色、褐色などがある。ガラス質の硬い石で、割れたふちが鋭いのが特徴。

 

硬質頁岩(けつがん)・・・水中で泥が重なって固まったもの。本のページのように薄く剥離する性質を持つ。

 

サヌカイト・・・瀬戸内海や四国北部、九州北部に分布する安山岩で、別名は讃岐岩。ガラス質なものが多く、マグネシウムと鉄を多く含む。

 

旧石器時代の打製石器の変遷「種類と用途」

 

打製石器も時代とともに石を砕いただけの礫石器、石を砕いた破片で作った剥片石器、石の中心部を使った石核石器、細かい剥片石器を組み合わせた細石刃()と変化していきます。

 

握斧、握槌・・・ハンドアックスとも呼ばれる礫石器。使用用途が特定できず、万能な道具だったと推測される。

 

石刃・・・ブレイドとも呼ばれる剥片石器。切る、削るといった作業に使われ、鋭利な刃を持っていた。

 

尖頭器・・・68cm前後のものが多く、槍の先として使われ、狩猟用としてがメイン。ポイント、石槍(せきそう)とも呼ばれる。

 

ナイフ型石器・・・尖頭器よりも細身でナイフのようにものを切るために使った。形状によって、そのまま直接握ったり、様々な長さの枝に取り付けたりした。

 

細石刃()・・・34cmと小さく、複数を組み合わせて、木や動物の角、骨などの軸にはめ込み、槍やのこぎり、銛として使った。シベリアで生まれた技術で、14000年〜13000年前に北海道に伝わり、その後日本海沿岸を経由して中国地方まで広がった。

 

縄文時代の打製石器の変遷「種類と用途」

 

縄文時代になると打製石器も用途によって使い分けられるようになり、剥片石器を用いた道具が多く登場します。

 

石斧・・・こぶし大ほどの大きさで、手で握ったり、短い木の棒に結びつけて木を伐採したり、加工や土掘り具として使った。

 

石槍・・・先の部分が打製石器でできた槍。縄文時代、弥生時代を通じて使われていた。

 

石鏃・・・石で作ったやじり。木や竹の先に紐で結びつけて、槍や矢の先端として用いられた。弓矢は槍よりも飛距離が長く、すばやい動きの動物も射止めることができた。

 

石匙(せきひ)・・・石材を砕いた際に出た破片で作られた剥片石器。狩った動物の毛皮をはぐのに使われた。

 

石錘・・・獣の皮や木の皮に穴をあける道具。打製石器の部類に区分されることが多いが、先端を削っているものもある。

 

打製石器の切れ味は?


打製石器は前述で説明した通り石でできたものですが、素材はガラス質であることもあり、切れ味はかなり良いです。(上の動画をご覧ください)

 

狩猟の際に動物に致命傷を与えるのには十分な鋭さでした。狩った動物の皮をはいだり、切り分けたりするのも思いのほか簡単だったようです。

 

木や葉を切ったり、植物の採取にも重宝しました。

 

旧石器時代〜縄文時代の人々の食生活

 

この時代の人々は10人前後の少人数の集団をつくって暮らしていました。さらにそれが集まって部族のようなものになったケースもあったようです。

 

この時代の人々は大きく3つの方法で食べ物を手に入れていました。

 

①植物性の食料の採取

場所や季節によって異なりますが、木の実は貴重な食料源でした。

 

この時代には土器も登場していたので、ドングリは水でさらしてアクを抜くなどの工夫が施されていました。

 

また、木の実が採れない冬に向け、地面に穴を掘り、ドングリの上に葉や木をかぶせて粘土でふたをして保存する貯蔵穴も見つかっています。

 

採ったもの・・・ドングリ、トチ、クリ、クルミ、クヌギ、シイ、ブドウ、木の芽、若草など

 

②動物の狩猟

この時代の地球は氷河期であったため、凍った海を渡って大陸からマンモスやナウマンゾウ、ヘラジカなどの大型動物が日本にやってきました

 

その大型の動物の狩りを集団で行い、打製石器を使ったり、落とし穴を設置したりもしました。

 

マンモスは縄文時代には見られなくなりますが、ナウマンゾウはいたようです。

 

槍だけでなく弓矢も使っていました。サイズは6080cmほどで、弓の部分は硬くて丈夫なカシや柔らかくて粘りのあるマユミが使われました。

 

採ったもの・・・ナウマンゾウ、シカ、イノシシ、ウサギ、ガン、カモなど

 

③漁労

川や海で魚を捕まえたり、貝類などを採っていました。

 

道具には打製石器で作られた銛や動物の骨で作った釣針、やすと呼ばれる鹿の骨でできた銛のような骨角器が使われました。

 

採ったもの・・・クジラ、サケ、マグロ、カツオ、アザラシ、アサリ、ハマグリなど

 

打製石器が発見された遺跡

(岩宿遺跡 出典:Wikipedia

①岩宿遺跡

群馬県にある遺跡で、現在は国史跡に指定されています。

 

発見したのは独学で考古学を学んだ相沢忠洋という人物で、この遺跡で黒曜石でできた槍先形石器が見つかりました。

 

②茂呂遺跡

東京都で見つかった遺跡で、25000年〜2万年前のナイフ形石器が見つかっており、サイズは5cm弱ほどで、関東から中部地方南部に分布する代表的な形とされています。

 

③月見野遺跡群

神奈川県で発見され、ローム層の中でナイフ形石器→尖頭器→細石刃と順番に見つかり、石器の変遷がわかる貴重な遺跡です。

 

まとめ

 打製石器は今から約200年前(もっと以前の330万年前頃という説もある)の旧石器時代に登場した、人類が作った最初の道具といわれている。

 打製石器とは石を打ち砕いて作ったナイフのような道具だった。

 打製石器を作るのには、直接打法、間接打法、押圧剥離などがあり、作業の段階や作るものによって使い分けていた。

 打製石器に使われた素材は刻洋館、硬質頁岩(けつがん)、サヌカイトなどがあり、ガラス質で剥離しやすいものが使われていた。

 打製石器は砕いただけの礫石器から細かい剥片石器を組み合わせた細石刃()へと徐々に手の込んだものになっていった。

 旧石器時代から縄文時代の食糧は植物や動物、魚などで、それらを採取するためにさまざまな形の打製石器が使われた。