日本をはじめとする多くの国で採用されている経済体制の資本主義。

 

どういった仕組みで、どのようなメリットがあるのでしょうか。

 

今回は経済を知るうえでとても重要な「資本主義」について簡単にわかりやすく解説をしていきます。

 

資本主義とは? 【意味と仕組み】

(資本主義のピラミッド 出典:Wikipedia

 

 

資本主義とは、生産手段を持つ資本家が、生産手段を持たない労働者の労働力を使い、利潤を追求する社会システムをさします。

 

資本主義の「資本」とは、事業活動の元手となるもので基本的にはお金を指し、近代経済学ではこれに加えて建物や設備などの物や労働者などの人も資本と考えられています。

 

またドイツの経済学者マルクスは資本を剰余価値を生み出し自己増殖する価値の運動体と定義しています。

 

例えば、手元にあるお金=資本を使って事業を始めます。事業の目的は利益を生み出すことです。

 

 

この場合の利益というのはお金という形でもたらされることがほとんど。つまりお金を使って、お金を増やしていることになります。こういう性質のものを資本と定義したのです。

 

資本主義においては、時間が経てば経つほど、スタート段階よりも資本が増えてきますので、社会全体の財も蓄積され発展してきます。

 

そのためには、資本の私的所有・資本蓄積・賃金労働・自発的交換・価格体系・競争市場が必要です。

 

こういった言葉も資本主義の特徴的な概念になります。

 

資本主義のはじまりと問題点&その克服

(18世紀のイギリス 出典:Wikipedia)

①産業革命と資本主義の始まり

18世紀半ば、イギリスで産業革命が起こりました。

 

 

アダム・スミスら経済学者は従来の重商主義に異を唱え、市場経済では利益のために投資をすることが「見えざる手」によって効率の良いものにされ、経済成長を導くとしました。

 

(アダム・スミス 出典:Wikipedia)

 

資本主義の場合、「何もせずに放っておけば自然と社会は発展していく」と考えられたのです。

 

しかし、資本家が利潤を追求するあまり、労働者には劣悪な労働環境や低賃金といった問題が発生します。

 

この結果、資本家と労働者の間での格差が増大。また、大きな資本家が市場を独占してしまうような状況も出てきました。

 

②資本主義の対義語「社会主義」

資本主義が進展し、社会の階層が豊かになっていく少数の資本家と貧しい大多数の労働者に分かれていきました。

 

しかもそれが固定化していったのです。

 

このため労働者階級を含めた経済的な平等を求める動きが発生しました。このような資本主義の弊害に対して出てきた考え方が社会主義です。

 

初期の社会主義では協同組合の結成や人道主義による貧民の救済を唱えたものなど、さまざまな形がありましたが、全世界的規模で影響力を持った考え方になったのは、マルクスエンゲルスによる『共産党宣言』が発表されてからでした。

 

(1948年 ソ連で発行された「共産党宣言100年記念切手」 出典:Wikipedia)

 

また彼らが『資本論』で主張したのは「資本主義の本質は資本家による労働者からの搾取であり、経済格差から必然的に革命が発生し、社会主義社会に移行する」ということでした。

 

社会主義の目指すところは平等社会。

 

そのためには生産手段を私的所有から社会的所有に移行させていきます。

 

つまり、工場などを国営にしてしまい、そこで得られた富を労働者に平等に分配することで平等社会を実現させようとしました。

 

1917年にロシア革命が起こり、世界初の社会主義国としてソ連が成立すると世界に衝撃が走りました。

 

 

数で言えばどこの国でも資本家よりも労働者のほうがたくさんいます。

 

彼らを組織するものが出て、暴力による革命が起こると資本家たちは既存の権益を失ってしまいます。

 

こうして経済面以外でも労働運動などの社会不安が出てくることになりました。

 

修正資本主義の導入

 

(世界恐慌の発生「ニューヨークのウォール街」 出典:Wikipedia

①世界恐慌とケインズ理論

 1929世界恐慌が起こります。

 

 

これまでの資本主義では立ちいかなくなってしまったのです。

 

市場に任せていては経済格差が広がるばかりではなく、恐慌や失業、労働問題が発生してしまいます。

 

そこで取られたのが修正資本主義です。代表的なものはアメリカのニューディール政策になります。

 

これは経済学者のケインズが考えた有効需要理論によるものでした。

 

(ジョン・メイナード・ケインズ 出典:Wikipedia)

 

それまで国家は市場に介入していませんでしたが、積極的に介入していくようにしたのです。

 

景気が悪い時には公共事業を行い政府が主導して仕事を作り出すことで失業問題やそこから来る諸問題を解決しようとしました。

 

②福祉国家の誕生

また、第二次世界大戦中のイギリスではベヴァレッジ報告というものがありました。

 

これは国家が健康保険・社会保険・年金などの制度を整備し、社会保障を充実させていくことで資本主義の問題点を改善するというものでした。

 

こちらも国家が積極的に介入することで富を再分配し経済格差を縮小させようとするものです。

 

戦後、労働党が政権を取るとイギリスはいわゆる「ゆりかごから墓場まで」と言われる福祉国家の道を歩んでいきます。

 

その後の資本主義

①ケインズ理論の問題点

公共事業は不景気対策として有効な手段の一つです。

 

建物や道路などを建設する業者はもちろん、工事作業者が利用するお店も潤うのでお金が循環します。

 

しかし、何でも作ればいいというものではありません。

 

国家による政策である以上財源は国民から集めた税金ですし、お金を使ってあまり利用者のいない建物や高速道路を建設することの問題点も発生しています。

 

特に政治家が地元へ利益誘導するための手段として用いられたこともあり、現在では否定的な見方をされることが多いです。

 

また、社会保障を充実させていくことは国家に対しては負担になります。

 

どんな形であれ国からもらうお金も税金が財源ですから、それを負担しているのは国民です。

 

もしものとき保障を手厚くしようとすれば、税率が高くなるなどの弊害が生まれます。

 

北欧などの高福祉高負担の国にするのか、アメリカのような低福祉低負担の国にするのか、国家のあり方を含めて検討しないといけません。

 

②新自由主義とグローバル化

こうしたケインズ理論の問題点に対して唱えられたのが新自由主義です。

 

それに基づき、1980年代に各国で市場原理を拡大させるための国営企業の民営化や規制緩和が行われました。競争を活発化させようとしたのです。

 

その政策を行った代表的な政治家がイギリスのサッチャー首相、アメリカのレーガン大統領、日本の中曽根首相です。

 

このように「資本主義は自由市場・自由競争と政府の介入という正反対の事象をどのようなバランスで配分していくのか」ということで揺れ動いてきました。

 

一方を強くすると問題点が出てくるので、逆に他方を強める、ということを繰り返してきたのです。

 

しかし、その後のIT革命やグローバル化によって世界はこれまでとは違った状況になってきています。

 

一国内での政策だけでは解決しない問題も出てくるでしょう。

 

ピケティは2013年、その著書「21世紀の資本」で格差是正には世界的な政治的再分配が必要であると主張しています。

 

まとめ 

 資本主義とは、生産手段を所有する資本家が、生産手段を持たない労働者を使い利潤を作り出す社会システムのこと。

 資本家と労働者の間で経済格差の問題が生じた。

 その解決策として出てきたのが、社会主義やケインズ理論。

 しかし、すべてが解決する方法はなかった。

 グローバル化が進む中、世界規模で資本主義の問題点を改善する方法を考える必要がある。




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