時代劇を見たことはあるでしょうか?
江戸時代には多くの役職があり、その役職をテーマとした時代劇はたくさんあって、私たちの聞いたことがあるタイトルがたくさん!
例えば、そう。遠山の金さん、大岡越前、そして長谷川宣以です。
この3名の共通点は、江戸時代の役職がテーマとなった時代劇の主人公たちです。
彼らはそれぞれ、南町奉行所・北町奉行所・火付盗賊改方という場所で働く、役職を担っていました。
では、これらの役職にはどんな違いがあるのでしょうか?
今回は、時代劇でもおなじみの『南町奉行所・北町奉行所・火付盗賊改方の違い』について、簡単にわかりやすく解説していきたいと思います。
南町奉行所・北町奉行所・火付盗賊改方の違い
では、この南町奉行所・北町奉行所・火付盗賊改方ですが、それぞれどのような違いがあるのでしょうか。
最初に簡単にまとめてみましたので、ご覧ください。
それぞれの違い
✔ 役割が違う
南町奉行所・・・江戸の町の司法、行政、治安維持を担当。警視庁と裁判所の役割
北町奉行所・・・江戸の町の司法、行政、治安維持を担当。警視庁と裁判所の役割
火付盗賊改方・・・放火犯や盗賊団、賭博等の取り締まり専門、機動隊と警察の役割
✔ 業務時間が違う
南町奉行所・・・北町奉行と交代制、およそ16時で閉所だが、残業は深夜まで
北町奉行所・・・南町奉行と交代制、およそ16時で閉所、残業は深夜まで
火付盗賊改方・・・交代制度はなく、昼夜問わず活動
✔ 活動範囲が違う
南町奉行所・・・奉行所がメイン
北町奉行所・・・奉行所がメイン
火付盗賊改方・・・実践ありき、自らが捕り物を行う
✔ 担当範囲が違うときもある
南町奉行所・・・刑事事件の他に、呉服・木綿・薬種問屋の案件の窓口を担当
北町奉行所・・・刑事事件の他に、書物・酒・廻船・材木問屋の案件の窓口を担当
火付盗賊改方・・・放火犯や盗賊団、賭博等の取り締まり専門
✔ 役職が違う
南町奉行・・・幕府や藩が指定した地域を管轄する役職
北町奉行・・・幕府や藩が指定した地域を管轄する役職
火付盗賊改方・・・臨時の役職
✔ 職種が違う
南町奉行・・・デスクワークや裁判、評議会などの会議がメインの文官
北町奉行・・・デスクワークや裁判、評議会などの会議がメインの文官
火付盗賊改方・・・現場に赴く武官
✔ 歴任した人数が違う
南町奉行・・・50人
北町奉行・・・43人
火付盗賊改方・・・248人(頭)
南町奉行について詳しく解説!
あの時代劇大岡越前こと、大岡忠相が長年取り仕切っていたのは、こちらの南町奉行です。
(大岡忠相 出典:Wikipedia)
南町奉行は歴代50人!実は、北町奉行で名前を馳せている遠山の金さんは、南町奉行としても活躍していたのです!
幕府や藩が指定した地域を管轄する役職である町奉行ですが、実は南町奉行は江戸の南側を担当していた、と言う訳ではないのです。
①南町奉行所は江戸の南側にあるからそう名付けられた
南町奉行所は、現在の有楽町の南側に位置していたことから、南町奉行所と名付けられたのです。
②激務すぎるため、北町奉行と交代制で実務にあたる
南町奉行所は、1か月の交代制で、北町奉行所と交互に訴訟や請願を受け付けていました。
空白の1か月は何をしているのかというと、受け付けていた訴状の事務処理にあてがっていましたが、それもままならない程の激務だったといいます。
③日暮れと共に奉行所も閉まる
南町奉行所は、およそ16時で閉まりますが、その後も山積みの訴状と格闘しなければならなかったため、深夜までの残業は当たり前だったそうです。
④南町奉行所専門の取り扱い案件がある!
南町奉行所と北町奉行所は、交代交代で刑事事件を扱う業務をこなしていましたが、南町奉行所専門の案件もありました。
それは、呉服・木綿・薬種問屋の案件の窓口業務でした。
北町奉行所について詳しく解説!
続いて北町奉行所について詳しく見ていきましょう。
桜吹雪の刺青で有名な、時代劇・遠山の金さんが主に活躍していたのが、北町奉行所です。
(遠山景元の肖像画 出典:Wikipedia)
正直、南町奉行所とやることがほとんど変わらず、内容が重複しますが、北町奉行所専門の窓口もありました。
①北町奉行所は江戸の北側にあるからそう名付けられた
北町奉行所は、江戸の北側を治めていたから、北町奉行所という名前ではありません。
北町奉行所は、現在でいうと東京駅の北側に位置していました。
②激務すぎるため、南町奉行と交代制で実務にあたる
南町奉行所と同じく、北町奉行所でも1か月の交代制で交互に訴訟や請願を受け付けていました。
北町奉行所も、南町奉行所と同じく、かなりの激務だったようです。
③閉所時間も南町奉行所と同じ、日暮時
北町奉行所も、およそ16時で窓口は閉まりますが、山積みの訴状と格闘は南町奉行所と同じ。
深夜までの残業も、当然あったそうです。
④北町奉行所専門の取り扱い案件がある!
北町奉行所にも専門の案件がありました。
北町奉行所の専門案件は、書物・酒・廻船・材木問屋の案件となります。
火付盗賊改方について詳しく解説!
最後に、鬼平犯科帳・長谷川宣以でおなじみの、火付盗賊改方について詳しく見ていきましょう。
火付盗賊改は、チームで動いていて、歴代の頭(かしら)はなんと248名にのぼります!
火付盗賊改は、北町・南町奉行所と全く異なる仕事内容と、業務内容になるので、見分けがつきやすいです。
①自ら現場に向かい、捕り物を行っていた
火付盗賊改は、放火犯や盗賊団、賭博を取り締まる専門組織でした。
現在の警察と機動隊の役割を果たしていて、実際の現場に向かい、自ら捕り物を行う武闘派の役職でした。
自らが現場に向かうので、業務時間は24時間です!
②臨時の武官という役職
元々は、明暦の大火以降に増加した、放火犯や盗賊団の取り締まりのために置かれるようになったという経緯があります。
町奉行たちは非武装の文官であったことから、これらの凶悪な盗賊を取り締まるための武力制圧組織を幕府は必要としていました。
そこで組織されるようになった臨時の役職だったのです。
③捜査権はあるが、裁判権はなかった
火付盗賊改は、放火犯や盗賊に関する事案の捜査権は持っていました。
しかし、裁判権はないというところが特徴で、老中の裁可を仰ぐ必要がありました。
まとめ
✔ 3つは役割の違いがあり、南町奉行所と北町奉行所は江戸の町の司法・行政・治安維持を担当し、現在の警視庁と裁判所の役割を担いっており、火付盗賊改方は放火犯や盗賊団、賭博等の取り締まり専門で、現在の機動隊と警察の役割を担っていた。
✔ 3つは業務時間があり、南町奉行所と北町奉行所は、月ごとの交代制。およそ16時で閉所だが、残業は深夜まで続いた。火付盗賊改方は、交代制度はなく、昼夜問わず活動していた。
✔ 3つは活動範囲があり、南町奉行所と北町奉行所は奉行所がメインだが、火付盗賊改方は自らが捕り物を行っていた
✔ 3つは担当範囲が違うときもあり、南町奉行は刑事事件の他に、呉服・木綿・薬種問屋の案件の窓口を担当。北町奉行は、刑事事件の他に、書物・酒・廻船・材木問屋の案件の窓口を担当。火付盗賊改方の担当範囲は変わらない。
✔ 3つは役職の違いがあり、南町奉行所と北町奉行は、幕府や藩が指定した地域を管轄する役職だが、火付盗賊改方は明暦の大火以降にできた臨時の役職
✔ 3つは職種の違いがあり、南町奉行所と北町奉行所は、デスクワークや裁判、評議会などの会議がメインの文官だらけだが、火付盗賊改方は現場に赴く武官だった。
✔ 3つは歴任した人数が違いがあり、南町奉行は歴代50人、北町奉行は歴代43人、火付盗賊改方は歴代248人(頭)だった。