中学校の公民で学んぶ「三権分立」。

 

これはどういった目的で導入され、国によってどんな仕組みで運用されているのでしょうか。

 

今回は知っているようで知らない『三権分立』について簡単にわかりやすく解説をしていきます。

 

三権分立とは?

(モンテスキューの肖像 出典:Wikipedia)

 

三権分立とは、フランスの哲学者であるモンテスキューがその著書『法の精神』において説いたものです。

 

彼の三権分立の考えはフランス人権宣言にも影響を与え、現在までも各国でその制度が取り入れられています。

 

三権分立は国家権力を司法・立法・行政の3つに分けることで権力の集中を防ぎ、三権がお互いに監視し合うことで権力の暴走を防ぐことを目的としています。

 

モンテスキューが登場する前の時代では王様が絶対的な権力を持ち、国を支配していました。いわゆる絶対王政です。

 

このような社会では人権は全くと言っていいほど考えられていませんでした。

 

従って三権分立によって国家権力を分散するということは、人権を守ることにもつながっています。

 

それでは、三つの権力のそれぞれについて見ていくことにします。

 

三つの国家権力

立法権

立法権とは法律を作る権利のことです。

 

権力の行使は法律に則っていなければなりません。

 

例えば誰からどんな理由でどれくらい税金を納めてもらうのか、どんなことをすれば犯罪とされどのような罰を受けるのか、は法律で定められています。

 

法律の根拠もなく、その時のお店の人の気分によって消費税が変わったりすると困りますね。ですからそのようなことは全て法律で定められているのです。

 

立法権は国会が持っています。

 

 

国会議員の仕事は「法律を作ること」。このあと説明する行政権や司法権の行使にも法律は大きく関わってきます。

 

どちらも法律を根拠に活動するからです。

 

従って日本国憲法では「国会を唯一の立法機関であり、国権の最高機関である」と定義しています。

 

行政権

行政権とは法律に基づき政治を行う権利のことです。

 

政治とは利害調整や意思決定を行い、法律によって決められたことを実行していくことです。

 

行政権は内閣が持っています。

 

 

内閣は行政権の行使として集めた税金を何に使うのか、景気を良くするためにどんな対策をするのか、あるいは災害が起きた際に被災者支援をどうするのか、などを決断していきます。

 

税金の使いみちは予算案として国会に提出し承認されることで効力を持ちますし、被災者の復興支援のための法律も国会で可決されて初めて意味のあるものになります。

 

③司法権

司法権とは法律に基づき裁判を行う権利のことです。

 

裁判は個人同士の争いや、犯罪行為、国家により損害を受けた場合の賠償請求など多岐に渡ります。

 

司法権は裁判所が持っています。裁判官は法律を根拠に判決を下していきます。

 

 

しかし、法律の条文には詳細まで書いてあることは少ないですし、時代によって考え方も変わってきます。

 

過去の判例も参考にしながら法律に則って判断をしていくのが裁判所の役割になります。

 

三権の相互関係

(日本国憲法下の権力分立 出典:Wikipedia

 

三権はそれぞれお互いにチェックし合う機能を持っています。

 

ここではそれぞれ2つの権力間でどのような体制が敷かれているかを見ていきます。

 

①立法権と行政権

日本の場合、立法権と行政権は密接に関係しています。

 

内閣の長である内閣総理大臣は国会議員の中から国会によって選ばれ、内閣を構成する国務大臣の半数は国会議員から選ばれないといけないからです。

 

この国会の信任に基づき内閣が成立する制度を議院内閣制といいます。

 

国会は内閣を信任するだけではなく、不信任することもできます。

 

不信任とは今の内閣ではダメだから辞めさせるということ。つまり信用できない行政権(内閣)を立法権(国会)は辞めさせることができる、ということです。

 

内閣不信任決議は国会の中でも衆議院のみで行われます。

 

衆議院によって不信任となった内閣は「総辞職するか」「衆議院を解散するか」選択することになります。

 

衆議院を解散すれば、総選挙を行うことになり、その選挙で内閣を支持する人が多数当選できれば、再び同じ人が内閣を組織することも可能になります。

 

不信任決議とは関係なく、内閣は衆議院を解散することができます。

 

これは不信任決議とは逆に立法権(国会)を行政権(内閣)が辞めさせることができるということです。

 

このように立法権と行政権はお互いに相手を辞めさせることが可能なのです。

 

②立法権と司法権

立法権(国会)に対する司法権(裁判所)のチェックは違憲立法審査権という形で入ります。

 

これは憲法に違反する法律は無効だと裁判所が審査することです。

 

法律は国会で作られますが、どんな内容でも構わないというわけではありません。

 

法律より上位のルールに当たる憲法に違反しているものは、国会で成立したとしても無効になってしまうのです。

 

この役割から裁判所は憲法の番人とも呼ばれます。

 

一方、司法権(裁判所)に対する立法権(国会)の機能は弾劾裁判です。

 

これは裁判官に職務違反や非行があった場合、国会において弾劾裁判所が開かれ裁かれるというものです。

 

裁判官を裁判所で裁こうとすると、身内のことになるので裁判そのものに不正が起こる可能性があります。それを防ぐための処置です。

 

③行政権と司法権

行政権(内閣)は司法権(裁判所)に対して最高裁判所長官の指名とその他裁判官の任命の権限を持っています。

 

指名とは誰にその職に就いてもらうのか決めること、任命とは任務に就くよう命じることなので、いわゆる辞令交付など正式に職務に就くのが任命ということになります。

 

逆に司法権(裁判所)は行政権(内閣)に対して行政処分の違憲・違法審査を行います。

 

法律よりも下位に存在するルールとして政令というものが存在します。これは内閣が制定するルールです。

 

政令が憲法や法律に違反していないか、あるいは行政の判断が憲法に違反していないか裁判所が判断します。

 

三権と国民

 

国家権力を三つに分割し、それぞれに監視させるだけではなく、主権者である国民にも三つの権力を監視する体制が整っています。

 

立法権(国会)に対して国民は選挙という手段で関わっていきます。

 

国民からの信頼や支持を失った議員は次の選挙で落選してしまうので、そうならないように国や国民のためを思った仕事をしていかないといけません。

 

行政権(内閣)に対しては世論調査による国民からの支持率がチェック機能の役割を果たしています。

 

支持率の低い内閣では、与党が次の選挙で勝てないので首相を交代する可能性が高くなります。

 

また、そもそも内閣総理大臣も国務大臣の過半数も国会議員から選ばれているので、国会議員選挙での投票という行為が国民からすると立法権と行政権への権利行使やチェック機能になっています。

 

立法権(裁判所)には最高裁判所裁判官の国民審査があります。裁判官としてふさわしくないと思われる人物を投票によって罷免することができます。

 

国家権力の分割と相互監視だけでなく、これらの国民のチェックも含めて三権分立と言えるでしょう。

 

まとめ

 三権分立とは国家権力を立法・行政・司法の三つに分けた制度のこと。

 フランスのモンテスキューが提唱し、フランス革命にも活かされた。

 日本の場合、立法権は国会、行政権は内閣、司法権は裁判所が持っている。

 日本では議院内閣制が取られており、立法権(国会)と行政権(内閣)は密接な関係がある。

 権力の分立だけではなく、相互に監視する体制を築くことで権力の暴走を防いでいる。

 選挙などを通して国民も三権に対して権力の濫用を防ぐことができる。

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