みなさんは、選挙制度について正確に理解していますでしょうか?

 

国会議員を選出する国政選挙や、都道府県・市町村などの首長、地方自治体の議会議員など、選挙の種類は様々でそれぞれ選挙制度が定められています。

 

このうち国政選挙で言えば、現在、選挙区については参議院議員選挙では中選挙区制など、衆議院議員選挙では小選挙区制などが採用されています。

 

選挙制度は複雑でわかりにくく、中選挙区制と小選挙区制は名前からどういった違いがあるのかイメージしづらい方もいるのではないでしょうか。

 

そこで今回は、中選挙区制と小選挙区制について、両者の違いや意味、特徴について簡単にわかりやすく解説したいと思います。

 

中選挙区制と小選挙区制の違い

 

それぞれ以下のような意味となります。

 

  • 中選挙区制・・・同一選挙区において、複数の候補者(おおむね35名)が当選する仕組みの選挙制度のこと。
  • 小選挙区制・・・同一選挙区において、1名の候補者が当選する仕組みの選挙制度のこと。

 

1996年以降、衆議院では小選挙区比例代表並立制に移行し、小選挙区制が採用されています。

 

このように、中選挙区制と小選挙区制の違いは、中選挙区制では同一選挙区で複数の候補者が当選するのに対し、小選挙区制では同一選挙区で1名の候補者が当選することにあります。

 

中選挙区制と小選挙区制のメリット・デメリット

 

中選挙区制と小選挙区制の主なメリット・デメリットは以下のとおりとなります。

 

<中選挙区制>

【メリット】

・中選挙区は中小政党の当選可能性が開かれており、多様な民意を反映しやすい。

・死票が少なくなる

【デメリット】

・与党の政権運営において、進める政策が少数意見を加味した妥協したものとなりやすい

・選挙区が比較的広いため、選挙資金が多くかかる

・多数派を占めるため、同一政党で複数候補者が擁立され、政党内の派閥争いを招きやすい

 

<小選挙区制>

【メリット】

・選挙区が狭いので、資金は比較的少なくて済む

・同一政党の立候補者は一人のため、派閥争いは起きない

・選挙のたびに政権を選択でき、強力で安定した政権が形成される

・政権交代を起こしやすくなるので、与党は真摯に政権運営をせざるを得なくなる

【デメリット】

・大政党に有利で、少数意見は反映されにくい

・死票が多くなる

 

以下では、これらのメリット・デメリットを含め、中選挙区制と小選挙区制について詳しく解説していきます。

 

中選挙区制についてわかりやすく解説! 

 

中選挙区制の意味と特徴について、詳しく見ていきましょう。

 

中選挙区制の意味

中選挙区制とは、上で述べたように、同一選挙区から複数の候補者(おおむね35人)が当選する、日本独自の選挙制度を言います。

 

中選挙区制は、1994年まで、日本の衆議院議員選挙において用いられており、かつての衆議院議員選挙で一時期用いられていた大選挙区制と比較して、1選挙区当たりの当選人数が少ないことからこのように呼ばれています。

 

ちなみに、一般的には、同一選挙区から複数の候補者が当選する仕組みは、大選挙区制に分類されます。

 

また、参議院議員選挙では、原則、都道府県単位で選挙区が設定されていますが、選挙区のうち、一人区を除いて、中選挙区制が現在も採用されています。

 

中選挙区制の特徴

中選挙区制では、同一選挙区で複数の当選者が生まれるため、大政党だけでなく、小政党の当選の可能性が開かれ、多様な民意を反映しやすい仕組みとなっています。

 

中選挙区制では、このように少数意見を汲み取ることができ、中小政党が一定の議席を確保しやすくなります。

 

しかし、その反面、最も多くの支持を集めた者が明確にならず、政権を担う与党が形成される際、政権が掲げる政策は多様な意見が反映されるように妥協したものとならざるを得ないといった指摘もあります。

 

この点、小選挙区制では同一選挙区から1名の当選者が決定されるため、当該選挙区において多数を占めた者が明確となり、多数意見が政権与党に集約され、多数派の民意をベースにした方針の下、少数意見に妥協しない形で政策の実行がなされることになります。

 

中選挙区制の下で、政権与党が妥協をはらんだ形で政策を実行するということは、政策の狙いが的確に効果として現れず、期待した成果を挙げられないといった、中途半端なものとなる弊害があります。

 

また、選挙区の範囲は小選挙区制と比べ広く、選挙活動が大変になり、選挙資金がかかるといった特徴があります。

 

さらに一つの選挙区で、大政党では多数党となるために複数の候補者が擁立され、政党内の派閥争いを招きやすいとも言われています。

 

小選挙区制についてわかりやすく解説!

 

続いて、小選挙区制について詳しく見ていきましょう。

 

小選挙区制の意味

小選挙区制とは選挙定員と同数の選挙区を設け、同一の選挙区から1名の当選者を出す仕組みの選挙制度を言います。

 

日本では、戦前の1890年の衆議院議員選挙において初めて導入されました。

 

衆議院の選挙制度はその後、大選挙区制、中選挙区制等への変遷を経て、1996年には現在の小選挙区比例代表並立制が導入されています。

 

小選挙区制の特徴

小選挙区制では1つの選挙区の範囲が比較的小さく、1名しか当選しないため、大政党に有利な制度となっています。

 

裏を返せば、小選挙区制では少数政党の意見が政治に反映されにくいといった弊害があると言えるでしょう。

 

小選挙区制の利点としては選挙のたびに政権を選択し、結果強力で安定した政権が形成されること、二大政党制を形成しやすいため、不満があれば選挙権者は、最大野党に投票して政権交代を起こしやすくなるので、与党は真摯に政権運営をせざるを得なくなるといったことが挙げられます。

 

一方、小選挙区制の欠点としては、候補者が僅差で当選、あるいは落選した候補者の票が多数を占める選挙区では、多くの死票が発生することがあります。

 

日本では1996年に小選挙区比例代表並立制が導入されて以降、2012年までの6回の選挙のうち3回で死票が5割を超えたと言われています。

 

また、小選挙区制では選挙区割りと関係の大きい問題が争点となりやすく、地元選挙区への利益誘導が起こりやすいとも考えられています。

 

まとめ

 中選挙区制と小選挙区制の違いは、中選挙区制は同一選挙区において複数の候補者(おおむね3~5名)が当選する仕組みの選挙制度を言い、これに対し、小選挙区制は同一選挙区において1名の候補者が当選する仕組みの選挙制度を言う。

 中選挙区制は参議院議員選挙、小選挙区制は衆議院議員選挙で採用されている。

 中選挙区制では同一選挙区で複数の当選者が生まれるため、大政党だけでなく小政党の当選の可能性が開かれ、多様な民意を反映しやすい。

 小選挙区制では1つの選挙区の範囲が比較的小さく、1名しか当選しないため、大政党に有利な制度となっている。

 小選挙区制では強力で安定した政権が形成され、二大政党制を形成しやすいため、不満があれば、最大野党に投票して政権交代を起こしやすくなるので、与党は真摯に政権運営をせざるを得なくなる。

 中選挙区制では死票が少なくなるが、小選挙区制では多くの死票が発生する。




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